2011年7月5日火曜日

9月8日(水):レンタカーでLAを走る



・ホーム・ステイを紹介してくれる筈のプロバイダがいい加減で、3W後に授業が始まるという時期なのに、何の連絡もなくまたこちらからのメールにも全く応答しない。電話を掛けても通じない。一瞬、詐欺に掛かったかもしれないと思ったので、直接、出かけていって一言、文句を言ってやろうと思った。事前のアポイントメントを取ろうとしても、電話が繋がらないので直接行こうと思った。1時間以上車で探しまわって、何人もの人に道を聞きながら、やっと場所を突き止めることができた。しかし、今日は平日の午前中なのに、オフィスには鍵が掛かっていて、クローズの札が掛かっている。オフィスはまた想像とは違って、個人用のアパートの一室を使用したものだった。個人事業で好きな時だけ働いていると云う感じ。


・オフィスは広いメイン道路に沿って建っている建物の中にあるのだが、その横や裏にも広い裏通りがある。日本の感覚で、その裏通りの端に車を止めた。そしてオフィスを確認しようとして、通りがかった女性に聞いたら代わりに電話してくれたばかりか、親切にもいろいろと対応してくれた。所で車を止めた時にその女性が言うには、そこはサイドウォークだから車を止めてはダメだという。しかも、そんなことをするなんて、信じられないという感じで言ったのだった。彼女に同行していたもう一人の女性も、やはり同様な態度だった。その時は、誰も歩いている人はいなかったが、サイドウォークに車を止めたら歩く人のジャマになるではないかという。トーランスは、日本の企業も多い中流クラスの人が多く住む地域である。そのような所に住む一般的なアメリカ市民は、予想以上にキチンと社会のルールを良く守るという印象を受けた。



・似たような事を他でも見かけた。広くて車など1台も走っていない道路に、何故か線が引かれてあってそこに「STOP」と描いて有る。日本の感覚で、つい、減速はするがキチンと止まらないで行き過ぎようとした。そのとたんに、右手の方から車が出てきて、その車が激しくホーンを鳴らした。そちらの方が優先になっていたのだ。所がその車の他には全くと言って良いほど車が来ない。しかし、しばらく観察をしていると、どの車もその線の所でキチンと律儀に止まるのである。全く歩行者の時は信号が赤でも渡ろうとする国民が運転ルールだけは本当に良く守る。


・そのオフィスは、トーランスと云うモーテルから50kmも離れた郊外の街にあったので、お陰でLAの街中を網の目の様に走っている高速道路の走り方が分かった。行きはICで、4回も違う方向に行ってしまい、そのたびに高速を降りて道を修正する為に時間が掛かってしまった。慣れてみると日本とは違って、高速道路が本当に合理的に作られていると思った。当然、無料だし。


・高速道路の走り方・・片側の車線だけで10レーンと沢山あるので、ICで別の方向に行く時はその方向へ行く専用のレーンを選ぶ必要がある。そのレーンに乗ってしまえば、そのまま向かいたい方向に自然に行けるようになっている。初心者が心配な合流も自然に出来てしまうように作られている。ただし、日本の様に道路の行き先や方面の標示は殆どなく、道路名と方位及びたまにルートの標示があるだけである。従って、道路名かまたは高速道路につけられているルートNO.を知らないと、ICでどっちへいったら良いのか分からない事になる。一見、超複雑なICも、あらかじめ手前でWEST/EAST or SOUTH/NORTHの標識が必ず出て来るので、それらのどちらかを選択してレーンを移れば良いのである。これは分り易い。


何しろ全ての道は東西か南北に走っているのだから。ただし、一度WESTのレーンに移動した後で、直前になってからEASTに移ることはかなりの危険が伴う。何しろ平均走行スピードが130km/h を超えているのである。LAの人達は本当にスピードを出して走る。 LAの街を網の目のように張り巡らされた高速道を、地図を頼りに一人ではじめて運転するのは結構大変だ。(首都高より楽だが)


・要するに自分が南北に通っている高速道を南から北へ走っている時、東西に通っている高速道とのICが有るとすると、ICの大分前から西方向へ向かうレーンと東方向へ向かうレーンとそのまま北へ向かうレーンに分かれる。西へ行きたい場合は西レーンに移動すれば良い。そうすると、東西に通っている高速道に入る時も、そのまま合流することなく同じレーンが高速道に繋がるのである。その事によって、東西の高速道のレーンが一つ増える訳ではなく、一番内側のレーンが一つ減るのである。問題はシフトするべきレーンが、いつも右の方にある訳ではないので、道路標識をチャンと観ていなければならないということにある。そして、その標識が英語の道路名なので、特に夜はゆっくりと読んでいる時間がないということにある。他の車のドライバーが、間違いもしないで走っていることが不思議でならない。


・結果として思いの外、時間が掛かってしまい、LAを出発したのは午後2時を過ぎてしまっていた。今日の目的地であるヨセミテに、夕方までに着くことはかなり難しそうだ。そこで、途中にあった休憩所で休みながら地図とガイド・ブックを読みながら、急きょ、「古式豊かな古い町」と言う説明のフレーズに惹かれて、フレズノと云う街に宿を取ることに決めた。とても歴史のある街なのに、多くの人はヨセミテへの入り口にある街として、ただ通りすぎてしまうらしい。


・早めに行き先を変えた筈だが、それでもフレズノに着いたのは夜の7時を過ぎており、辺りは既に暗くなってしまっていた。そこであらためて地図やガイド・ブックでモーテルを探す気も起きず、また腹も減っていたので、走りまわって宿を探すのに本当に苦労した。LAを出てから、まだ一度もガソリンを入れてないので、残りも少なくなってきたし心細い一層思いを掻き立てる。街中の筈なのに、通りを歩いていている人が見当たらない。メイン・ストリートの筈なのに、期待していた様な店が見当たらない。大体、何処が中心地なのかさえ良く分からない所だ。そこで、道を聞く為に入った何でも屋の様な店の女主人が、親切にもたまたま居合わせた客とあれこれ議論して紹介してくれた。そこへ迷わず行ってみる事にした。着いた所はこじんまりしているが、プールまでついて小奇麗で良い感じの処である。更に気に入ったことは、田舎なのでこれでも価格はLA2/3位($55 TAX込み)だった事である。後で飯を食いに出かけた時に、少し離れた高速道(XXX)沿いに沢山のモーテルが並んでいるのを見つけた。ギンギラに明るいこのモーテル街は、何となく日本のモーテル街を連想させてしまう。本当にこっちでなくて良かったと思った。チャンと捜すと、少し高いかも知れないが、静かで綺麗なそして結構、安い所があることが分かった。




・日本ではモーテルと云うといかがわしい休憩所を連想する事が多いが、アメリカのモーテルは旅行者のニーズに合った、とても便利な存在である。良く見ると、また、何人かと離してみて分かった事は、所謂、アメリカ国内やカナダから来た、普通レベルの人達が沢山泊まっている事である。中にはそういう季節なのか、家族連れも結構いる。必要なものは大体揃っているが、余分なものは一切ない。より良いサービスが欲しい客は、少し高いがホテルを利用すれば良く、ちゃんとポジショニングが成り立っている。と言っても、実は観光地から遠い、ただの田舎町には日本でいう所謂、高層ホテルや高級ホテルなど見当たらない。結局、チョット小奇麗な個人の家といった感じのプチホテルの様なモーテルになるようだ。


・モーテルが一般的であると言っても、高中低のレベルはキチンと分かれており、長距離トラックのドライバー御用達の処から、少し綺麗な感じのカップル様の所まで、料金で色々揃っている。小奇麗な処では、室内の設備はホテルと同様である。ただし、一般に交通の便利さが優先される立地にあるため、日本と同様に高速道路脇にあるのが多い。また、合理的に低料金になっているためか、窓からの景観は望めないし、高級感はない所が多い。やっぱり金持ちは街中にあるホテルに泊まる様である。


・旅館と民宿旅館の違いか、アメリカにも、リゾート地の近くでは、BBと呼ばれる日本でいうペンションの様な食事付きの宿も見掛ける。ただし、ここは値段が3倍近く高い。こちらのBBは、日本でいう高級旅館といった処かも知れない。


・私がモーテルに求める最低の条件は、お湯の出るシャワー、ビールを入れておく冷蔵庫のあること、インターネットができること、そしてPCを開ける机と椅子があることである。もちろん、ある程度綺麗なことが必要で、最後に値段の折り合いがつくことである。値段の目標は税金抜きで上限が70ドル位、目標は50ドルである。此の様な条件を地方で満たすことは難しくないが、リゾート地や、街の中では困難である。ただし、同じ街であっても内容と値段がまちまちであることが後で分かった。不思議なことに60ドルで泊まりたくないモーテルがあるかと思うと、50ドルで綺麗な部屋や設備の整っているモーテルもある。捜すのが面倒な場合は、有名なフランチャイズの所に決めれば、大きなハズレはない。


・インターネットで思い出したが、ホテルでは何処でも接続料金を取るようである。それも時間辺り$10位するらしいが、モーテルでは基本的に何処でも無料である。フレズノで泊まったモーテルでは、はじめ接続が上手くいかずに手間取ってしまった。ルーターに問題がありそうなので、何回か受付に行って確認したが、受付の係はインド系の男性で、如何にも自信たっぷりな応対にも関わらず、あまり詳しくはない様だった。結局、原因が分からないうちに繋がった。


・モーテルやホテルと云えば、どちらも基本的にはカップルのためのものである。料金は日本と違って部屋で決まるので個人では割高になる。つまり、一人で泊る様には作られていないし、そのような客は極めて少ない。それに作りの悪い処だと、夜、隣の部屋からの女のうめき声が聞こえてしまい安眠が約束されない。LAの二日目の夜がそうだった。


・そういえば車を運転していて気が付いた事は、当たり前だが自分の様に、一人で旅行している車が見当たらない。圧倒的に男女のカップルばかりである。それは分かるとしても、結構、男同士の二人で来ているのが多い。日本と同様に単なる仲良しで、夜はおしゃべりで楽しく過ごすのだろうか。私には全ての旅行者が男と女の組み合わせと言うのも、何か窮屈な感じがするのだが、男同士も何となく落ち着かない。一方、団体さんは別として、三人とか四人とかの同姓のグループで旅行している車も見たことがない。オートバイで走っているグループは、何回か見かけたことはがあるが。


・ガソリン・スタンドには、店内にサブウェイや、また、どこでも同じものしか売っていないのだが、日本のコンビニのような店があり、ミニマーケット(田舎の萬屋)という感じで、旅行者のとっても力強い味方である。GSでトイレを使用する場合は、勝手に使わないでレジで一言ことわってから、鍵を借りて使用する所が多い。そう言えば、一度、鍵を借りて鍵を使ってトイレのドアを開けたら、中に人がうずくまっていたことがあった。男だったが。


LAから北に向かう道は山越えである。8車線が並ぶ高速道が結構、長い坂を登っていく。山と言っても、ほとんど背の高い木々はなく、所々赤茶けた山肌を見せている、なだらかな荒野の坂道が延々と続く。しかし、山を超えてベーカー・フィールド近辺まで降りて来ると、今度は、そこに、どこまでも真っ直ぐな道が延々と続いているフレズノまでの高速道は、平均時速130kmで走り続けることができて、とても気持ち良かった。しかし、とにかく真っ直ぐで単調な上に、今になって時差ボケが出て来た様でとにかく眠い。



・走っている車は、どこででも良く見かけるピックアップと、郊外で良く見かける大型のキャンピング・カーを除くと、小型車が多く現在の日本と左程大きくは変わらない。20年以上も前に出張で来たときに良く見かけた、大型のセダンは殆ど走っていない。日本と大きく印象が異なる乗り物は、日本のものより数段大きな図体をした大型のトラックである。大抵、太くて長い煙突を突き出して、しかもカリフォルニアの坂道を、制限速度をキチンと守ってゆっくりと走っている坂道には必ず専用の車線がある。


・約20年前の昔の事であるが、初めてアメリカ(ロチェスター)へ2週間ばかり出張の時に感じた印象と比べると、最近のアメリカ人は段違いにどの車も結構なスピードを出すようになった。当時、受けた印象ではどの車もキチンと法令速度を守っていること、むしろ自分ひとりだけがせかせかしているという感じであった。所が何故こんなにも様変わりしたのだろう。自分の車の速度を少し落として走っていると、後ろの車は必ず追い抜き車線に移動して追い越していく。制限速度は昔と同じ60マイル(96km/h)だが、何処を走っても、高速道では時速80マイル(130km/h)が普通である。ただし、トラックは別で日本の二倍位のでかいのが、チャンと制限速度を守っている。実は結構、ポリスカーが走っていて、制限速度を大きく超えて走っている車が捕まっている所を何回も目撃した。しかしながら、車で何時間も走り続けていると、とにかく高速で走りたくなる気持ちが良く分かる。一度、130Km/Hで走ると、100Kemahに落とすのはとても難しいことだ。自分を押さえて一度は速度を落としても、再び自然に速度が上がってしまうのである。



・一定速度が130kmで落ち着く理由は、多分、車の性能が影響しているように思う。これ以上の速度で走り続けると、いざという場合に対応ができそうもないと感じる。それに高速道路のあちこちにスリップしたタイヤの跡が残っている。それも数が半端ではない。50m毎に必ず、道路の方向から外れた方に向かってスリップ跡が付いている。その上、道路の両側には、焦げたタイヤの残骸が無数に転がっている。つまり、これ以上の速度で走り続けようとすると、タイヤのバーストが気になってくるのだ。


LAから北へ向かう高速道(XX)は、山坂を超えていく平坦ではない5車線位の道路であるが、それがどこまでも続く車の列で一杯であった。ただし、ガンガン流れている。アメリカの経済のフローの底力を、本当に実感する。日本のように列車で移動する手段が少ないのだから、ほとんどすべての人が車で移動する訳であるから、数が多いのは当たり前といえば当たり前だが、実際にそれを目の当たりにするとそのパワーに感動してしまう。


・ただし、道路は日本の様に金が掛かっていない、全く普通かそれ以下の継ぎ接ぎだらけのガタガタの道が多い。おそらく、コストは日本の1/10位ではないかと思う。それにしても、道路内にはサービス・エリアもなく、たまにある休憩所に有るのはトイレだけで売店もいない。必要なものは何でもあるが、無駄なものは一切なく合理的で本当にすっきりしている。多分、日本では官僚や道路族議員が、利権を何でも抱え込んで自分達の世界を作り上げているからだろう。ただし、余程のど田舎に行かない限り、高速道沿いの街の近くで降りれば、そこには必ず大きなレストラン街がある。そこではトイレやGSやコンビニやサブウェイやミニホームセンター等が揃っている。普通に考えて、旅行者に必要なものだけを作ろうとすれば、必然的にアメリカでやっているような現状の形になるような気がする。


・もう一つ気がついた事は、日本と違って殆どバイクに出会う事がなかった事である。今日一日走って、出会ったのは2台だけ。日本の方が何十倍もバイク天国だと感じた。


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